排水部材(排水金具・排水トラップ管)の選び方

排水部材(排水金具・排水トラップ管)の選び方

排水金具、排水トラップ管は、使用する洗面ボウルと設置環境によって異なります。洗面ボウルの排水穴の大きさやオーバーフローの有無など、排水金具を選ぶ際は注意すべきポイントがいくつかあります。

排水に関する用語

オーバーフロー(アフレ)

洗面ボウルについている水が溢れるのを防止する逃し穴の事です。 「アフレ」とも呼びます。「アフレ」とは「溢れ=アフレ」という日本独自の呼称です。

洗面ボウルに「水が溢れるのを防止する逃がし穴」があれば「アフレあり」、「水が溢れるのを防止する逃がし穴」がなければ「アフレなし」と言います。

その洗面ボウルに適合する排水金具も、「アフレあり」の洗面ボウルであれば「アフレ付き排水金具」を使用し、「アフレなし」の洗面ボウルであれば「アフレなし排水金具」を使用します。

排水金具(上部排水金具・排水口金具)

洗面ボウルの排水穴のに取り付ける金具を総称して「排水金具」と呼びます。

日本の排水金具は、32ミリ規格と25ミリ規格があります。排水金具の下につながる筒状のパイプの直径が、32mmの場合は32ミリ規格、25mmの場合は25ミリ規格ということになります。 (実験用や業務用で使用する大容量シンクには38ミリ規格を使用することがあります。)

32ミリの場合は「上部排水金具」とか「ドレンユニット」「排水ユニット」と呼ぶこともあります。25ミリは「丸鉢」「排水口金具」「ドレントップ金具」と呼ぶこともあります。

排水トラップ管

排水の方向が床の場合は、床排水用の「Sトラップ」を使用します。U字管とステッキ管を組み合わせたものが、Sトラップです。

排水の方向が壁の場合は、壁排水用の「Pトラップ」を使用します。 Pトラップの場合はU字管とキセル管を組合せたもの。

排水金具は、上部と下部のトラップ管を別々に販売しているものと、一体型で販売しているものがあります。また、上部排水金具が蛇口に付属していたり(海外メーカー製の蛇口に多い)、洗面ボウルに付属している場合も多くあります。購入の際は、付属品を事前に確認して、過不足がないように準備しましょう。

オーバーフロー(アフレ)の有無と「25ミリ規格」「32ミリ規格」

洗面ボウルの排水口に取付ける金具を選ぶ際は、オーバーフローの有無と排水穴の直径を調べます。

オーバーフロー有りは「横穴付き(アフレ付き)」排水金具

オーバーフロー付きの洗面ボウルは、水を逃がす穴がある32ミリ規格の「横穴付き排水金具(アフレ付き排水金具)」を使用します。洗面所で使用する洗面ボウルは、ほとんどがこのタイプです。水を溜める機能があるものと無いものがあります。

オーバーフロー無しは「横穴無し(アフレなし)」排水金具

手洗いを目的とした小型~中型の手洗器は、水を溜める必要がないのでオーバーフローは無いことがほとんどです。

横穴無し32ミリ規格排水金具

オーバーフローの無い洗面ボウルは、 ボウルの排水穴径がφ40~45mm程度であれば、32ミリ規格の横穴無し排水金具を使用します。

25ミリ規格排水金具

オーバーフローの穴が無く、排水穴の直径が φ39~43mm程度であれば、25ミリ規格です。25ミリ規格は日本独自の規格で、「日本製で小型の手洗器」はほぼオーバーフローがありません。「25ミリ規格排水金具=横穴無し」と考えて大丈夫です。
※25ミリ規格の横穴付きの排水金具も存在はしますが、非常に特殊なケースです。

排水方式の違い(ポップアップ式とプッシュ式)

32ミリ規格の排水金具は、水を溜める機能がついたものがあります。溜めた水を排水する方法が、器具によって異なります。

ポップアップ式排水金具

蛇口本体、またはカウンターに取付けてあるつまみ(ポップアップ棒)を上下させる事により、排水栓を開閉し洗面器に水を溜めたり抜いたりする仕組みの排水金具を「ポップアップ式」呼びます。水栓連結式とカウンター独立式の2タイプあります

日本国内で広く普及して採用されているポップアップ式ですが、設置条件によっては使用できなかったり困難な場合がありますので、事前にご確認ください。

プッシュ式排水金具

排水口の中心を押すと洗面器に水が溜まり、もう一度押すと水が抜ける仕組みの排水金具は「プッシュ式」「プッシュボタン式」「ティップダウン式」などと呼ばれます。水栓金具と連結せずに独立して取付けるため、幅広い蛇口・洗面器と併設可能です。
プッシュ式排水金具は、操作性・耐久性・汎用性に優れた排水金具です。

プッシュ式ドレンユニットなどの32ミリ規格の上部排水金具には、32ミリ規格のSトラップ32またはPトラップ32を接続します。

最後に

排水金具は、洗面ボウルとの規格や条件で選べば難しくはありませんが、不明な点があれば、使用する蛇口と洗面ボウルを販売店や施工業者に伝えていただければ、適合する製品を教えてもらえます。

ただし、次の場合は排水金具が取り付けられない可能性があり、注意が必要です。

  • 海外の無名メーカーが製造するような激安商品
  • 図面の無い手作り製の洗面ボウル

この場合は現物の寸法を計測して、使用できるであろう排水金具を選びますが、実際に取り付けてみないと分からない場合があり、取付可否に関する保証はできず、使用できなくても返品・交換等ができません。洗面ボウルだけを輸入販売し、適合する排水部材を取り扱っていない販売業者もあるようですのでご注意ください。

そういったトラブルを避けるためにも、事前に取り付けられる排水金具があるかどうか確認してから洗面ボウルをお買い求めくださいね。